電気柵の設置・管理の基本

更新日:2024年05月02日

心理的に侵入を防止する柵

 電気柵は、シカやイノシシなどの動物に対して電気ショックを与えて、農地への侵入を防止します。

 シカやイノシシは探索行動として鼻先で触るという習性があります。この習性と学習能力を利用して、触って感電させて「この場所は危険だ!入りたくない!」と学習させることで、侵入を防ぐことができます。このため、トタン柵やワイヤーメッシュ柵などの物理柵とは区別され、心理柵と呼ばれています。

 また、電気柵は物理柵よりも比較的安価に導入できるのも特徴です。山ノ内町では電気柵の購入費に対する補助金があります。

ショックの仕組み

 電気柵用の電線には約4,000ボルト以上の電圧がかけられていますが、電線と地面がつながっていなければ電気はどこにも流れません。動物の鼻先が電線に触れることで、電流が動物の体を通って地面に流れ、アースを通して本体に戻った時、強烈な電気ショックを感じるのです。

設置のポイント

対象獣の鼻の高さに電線を張る

 体毛のある部位が電線に触れても大きなショックは感じません。体毛が生えていない鼻先に電線が当たるように、対象の動物に合わせて電線の高さを調節します。

 動物は飛び越えるよりもくぐり抜ける方を選択します。柵の下方に隙間を作らないよう、最下段は地面から20cm以内に張りましょう。

高さの目安
  • イノシシ、クマ:20センチメートル間隔で3段
  • シカ:30センチメートル間隔で5段
  • サル:15~25センチメートル間隔で7段
  • ハクビシン、タヌキ:地面から5センチメートルと15センチメートルに2段

 ★設置の際に、支柱に目印を付けておくと管理の際も便利です!

 

支柱は舗装面から離して立てる

 動物の足が舗装面や乾いた地面に乗った状態で電線に触れても、体から地面に電気が抜けにくいためショックが弱くなります。アスファルトやコンクリートから50センチメートルは離れた位置に支柱を立てましょう。

碍子(ガイシ)は動物側に向ける

 碍子やクリップが柵の内側(畑側)にあると、動物が電線に触れずに支柱を押し倒すことができます。

アースはしっかり地中に差し込む

 電気柵の効果はアースの設置状況に左右されます。地面を掘って地中に埋めるのが基本です。複数ある場合は幅広く設置し、1本の場合は地中深く埋めましょう。

凸凹・傾斜の地面では支柱をたくさん使う

 電線は地面と平行に張るのが基本です。平坦でない場所では支柱をたくさん使って隙間をなくしましょう。

管理のポイント

24時間通電!ダミー柵厳禁!

 シカやイノシシは夜も昼も活動しています。通電していない柵やダミー柵(電気柵を模したもの、効果はありません)に触れると、「この線は危険なものではない!」と学習します。電気柵は危険ではないと学習した動物は、正しく設置している他の農地にも恐れずに侵入してきます。

下草をこまめに管理!

 電線に雑草や木などが当たっていると漏電し、十分な効果が得られません。定期的に見回りや下草刈りを実施しましょう。通電性の防草シートを活用してもよいかもしれません。

定期的な電圧チェック!

 下草管理と一緒にこまめな電圧点検を行いましょう。効果を発揮する電圧の目安は4,000ボルト以上です。電圧を確認するテスターは必需品です。耕地林務係ではテスターの貸し出しもしていますので活用してください。

安全確認のお願い

 電気柵は獣害対策として非常に有効ですが、設置方法を間違えると重大な事故につながる危険性があります。
 電気柵設置にあたっては、事故防止のため電気事業法に基づき、下記の4点について実施しているか点検を行ってください。

  1. 危険である旨の表示
  2. 電気さく用電源装置の使用
  3. 漏電遮断器の設置
  4. 専用の開閉器(スイッチ)の設置

 電気柵を設置する際は、ルールを守り、適切に利用しましょう!
 また、感電事故を防止するため、電気柵周辺で作業をするときはむやみに近づかないよう十分ご注意ください。

参考資料(農林水産省、日本電気さく協議会、経済産業省による作成)

電気柵購入にかかる補助金について

※令和6年度事業については、申込多数のため受付を中断しています!

 野生鳥獣による農作物被害を防止するために電気柵を設置する方に対し、購入費の一部について補助します。

対象者
  • 町内において農業を営む者
補助金額
  • 購入費用の100分の85以内で、17万円を上限
申請方法

 以下の書類に必要事項を記入したうえで、添付書類を添えて耕地林務係まで提出してください。

申請書類様式(Wordファイル:49KB)

 

※例年、申請件数が多数になるため8月ごろには募集を打ち切ってしまいます。検討されている方は、早めの申請手続きをお勧めします!

この記事に関するお問い合わせ先

産業振興課 耕地林務係
〒381-0498 長野県下高井郡山ノ内町大字平穏3352-1
電話番号:0269-33-1107